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中野量太監督の最新作「長いお別れ」は、今風の家族をテーマにした作品

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こんにちは。Ultra Bar の Keiko です。以前、N氏がお越し頂いたときのブログで、N氏の身内でらっしゃる中野量太監督の「湯を沸かすほどの熱い愛」をご紹介しました。その中野量太監督の5月31日封切りの最新作「長いお別れ」を観てきました。

以下、多少ですがネタバレ含む感想ですので、見に行ってから読むことをオススメします。

認知症になってしまった父親と、それを見守る家族の物語。涙と笑いを交えつつ、つらいことに前向きに対処する今風の家族の姿を今風の設定と独自の感性で描いています。認知症を患うことはゆっくりと「長いお別れ」をしなければならないということ、そして最期を決断しなければならない、そんな現代の家族が普通に直面することをテーマにした物語です。

つらい場面は比較的さらりとカットを変えて次へと移行、号泣場面では涙を長引かせず笑みが残るように演出する、そんなふうにサクサクと展開して7年に渡る「長いお別れ」を綴ったストーリーです。監督の独特の感性で細やかな演出をしています。蒼井優が新しい恋人に振られてしまう場面や、卵料理が母、娘の共通の『得意料理』だったり、ポテトサラダの中に混ぜた干しぶどうがストーリーの「アクセント」になっていたり、というキラリと光る演出です。父が亡くなったという重い事実さえ間接的に伝えます。素晴らしい脚本に仕上がっています。前回の「湯を沸かす。。」は脚本・監督とも中野量太監督でしたが、今回は、原作・中島京子、脚本は大野敏哉氏がクレジットされているようで、洗練された脚本に仕上がっています。前回は「トンガリ」感が面白かったのとはひと味違う仕上がり感です。

そして、なんといっても名優陣の演技力、それを引き出す演技指導力、というか演出力、凄すぎます。個人的には蒼井優と竹内結子が演じた今風の家族の娘たちがお気に入りです。芙美と麻里は、自分の人生も上手く生きてイケてないのに、父がこんな状態になってしまう。それでも前向きに上を向いて歩こう、というひたむきに頑張る姿勢に、ごく身近の友人のような親近感を感じてしまいます。ぜひご覧になって頂きたいイチオシの作品です。

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