こんにちは、Ultra Bar Keiko です。木曜のお客様は、昔の職場の先輩上司のお二人。両氏はデジタルコンテンツの仕事仲間だった方々で、N氏はクリエイティブコンテンツを世に販売提供する会社の社長、そしてクリエイティブ人材・事業を世に輩出するエージェント、デジタルスケープのF氏です。
N氏は、なんと『湯を沸かすほどの熱い愛』(宮沢りえ主演)の監督・脚本の中野量太さんの身内の方。映画は第40回日本アカデミー賞で6部門受賞、そのほか世界の映画祭の賞を数多く受賞しています。作品は「家族とは何だろう」をテーマした中野量太監督自身の脚本による作品です。数多い映画評の中でも特に私のお気に入り評は高崎映画祭の最優秀作品賞の受賞理由。少し抜粋します。
「(前略)(本作は)平成の時代性を背負った家族の物語だ。意志を持って母となり家族を守らんとする主人公を軸に、それぞれの登場人物の人生も丹念に追っている。群像劇としての厚みも忘れず、時代の空気感、その中で育ち生きる人の手触りを捉え、観客を物語に引き込んでいく手腕に優れていた。悲喜こもごもの人生を愛と笑いで包み込んだ意欲作に、賞賛の声が集まった。。(後略)」
世の中ダイバーシティ化が進むと『市井の人々の生活を描いた優れた娯楽映画』を作ることは難しくなっていくと思います。何が普通なのか?が誰にもわからない。つまり、本作品にしても主人公の家族が典型的な平成の家族像か?といえば決してそうではないのです。そんな設定の難しさをすっ飛びに越えて、宮沢りえ演じる『お母ちゃん』は、末期がんで亡くなるまでの間ずっと、家族に、そして観客にも元気を与えてくれます。号泣必至です。
銭湯を舞台として選択した理由について、銭湯好きな中野監督は理由をこんな風に話しています。
「知らない人同士が1つの湯船に入って、繋がって、しゃべったり、コミュニケーションをとったり。そういう人と人のコミュニケーションの場として面白い」(Wikiより)
バーも同様で、相席になった時に見知らぬ同士やグループが、同じ小さなバーの中で、お互いを知ろうと話しかけたりコミュケーションをとろうとする。カウンターの後ろから眺めていると、一期一会でも人と繋がりたい、そんな気の流れを感じます。
中野量太監督の次の作品は、5月31日公開の「長いお別れ」。認知症でゆっくり記憶を失っていく父親とお別れまでの7年間の家族の愛の物語です。中野監督が捉える現代性、そして笑いをとるユーモアのセンスが好きなので大きく期待します。あらすじを聞いてトレイラーを見るだけで泣けてきます。必ず見に行きます。
バーですごす時間は光のようにあっという間に過ぎ去り終電が気になりだします。映画の話を熱く語ったらブログも長くなってしまったので、本日の写真、この話の続き、デジタルスケープのF氏に頂いたスモークチーズのお土産の話はまた明日改めて。